すべてのビジネスパーソンに必要なマネジメント力

あなたが今、会社員だとしても、フリーランスや起業家だったとしても、これからの時代のビジネスはすべて、社内外の人を巻き込みながらの「プロジェクト化」していくと思ったほうがよいでしょう。
そうした時代に必要なチカラ。それは “マネジメント力” です。

マネジメント力というと、以前は組織の管理職における話だったかもしれませんが、もしも今、あなたが「どうしても成し遂げたい夢がある」という状況なら、その成否は最終的にマネジメント力で左右されると覚悟したほうがよいです。
なぜなら、あなたの夢は他の誰かではなく、あなた自身が叶えるしかないからです。単なる肩書ではなく、そこに一番コミットする存在として、そのプロジェクトのリーダーは自分が担うしかないからです。

女性の多くは、何かをはじめる際に仲間を募ることで、「みんなで一緒に」と考えがちですが、それは間違っています。「みんなで一緒に」が成功に向かうのは、覚悟を決めた一人がいる場合のみ。その一人、リーダーがいないプロジェクトや企画は必ず、途中で空中分解します。

今回は、最近私が読んだ「マネジメント」に関する2冊の本をご紹介します。

ときに、リーダーの仮面を被る覚悟はありますか?

まず1冊目はコチラ。
『リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』安藤広大  (著)

わずか4年で上場、2000社が導入し、コロナ禍のリモートワークに後押しされ勢いが伸びているという「織学」。

組織論に関しては少し前から、階層構造を無くして従業員それぞれが裁量権を持つ「ティール組織」や「ホラクラシー組織」などが注目を集めているようですが、組織を上下で考える「織学」で成長している企業がたくさんあるということは、日本企業の大半はまだピラミッド型組織の方が都合がよいのかもしれません。

ちなみに、組織論に関しては、以前、アソウ・ヒューマニーセンターさんとセミナーを開催させていただきました。4回に分けてアップしておりますので、ご興味のある方は以下YouTubeよりご覧ください。

さて、話を「リーダーの仮面」に戻しましょう。
この本の帯にもあるように、“マネジメントで「いい人」になるのはやめなさい”というのは私も共感します。

この本の趣旨は、主にマネージャーと部下の関係性における内容なのですが、肩書に限らず、プロジェクトの責任者・リーダーを務める、自分の事業に対して複数の人に手伝ってもらうという際にも同じです。

いかなるときも、「個人的な感情」は横に置いておくこと。
プロジェクトの成功を軸に物事を判断すること。

これはとても大切なことですし、これができるのが大人であり、ビジネス上で信頼を得られる人でもあると私も思います。

リーダーの役割は部下のモチベーションを上げることではなく成長させること。
雰囲気がよくなるから成果がでるのではなく、成果が出るから結果的に雰囲気がよくなる。

本書に書かれているこれらは、組織の関係性でなくても、縦の関係性でなく横の関係性だったとしても、「この人と一緒にいることで自分も成長できる」と思えるか否かが、仲間づくり、パートナー形成において大きな影響を与えることは言うまでもないですよね。

私自身は、ワーク・ライフデザイナーの活動とは別に、企画会社の代表もしているのですが、企画会社ではさまざまなプロジェクトをフリーランスの方々と一緒に進めています。
この場合の私のマネジメントはまさに「織学」と同じです。縦の関係性だとは思っていませんが、でもやはり、私とフリーランスの方の関係性は発注者×受注者の関係性にはなってしまうこと、すべての判断を私の独断(全責任を負う形)で担う必要があるため、お友達感覚では仕事ができません。
適度に距離を置き、時には仮面を被るくらいの覚悟を持っているほうが、お付き合いしている方々に安心してお仕事していただけると考えています。

そうです。
つまり、ある程度の方向性や計画が決まっているような仕事の時には、この「織学」の思考はとても効率的なのだとわかります。

一方で、目指す方向性は決まっているものの、やり方がたくさんある場合、計画がFIXしておらず、計画通りに進めることも難しそうな答えのないプロジェクトを進める際にはどうでしょうか。
そういう場合には、少し手法が変わってきそうです。

作品作りのように仕事をする

2冊目はコチラ。
『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』山口 周  (著)

階級を設けて上から順に意思決定の連鎖をしていく官僚型組織が、環境の変化、変化が激しく不確実なVUCAの時代には適応できなくなったことは周知のとおり。あらかじめ決められたルール通りに与えられた問題を解く受験勉強も同様ですよね。

官僚型組織では「手続き処理型」の仕事を正確に推進するチカラが求められていましたが、ルールでは判断できないような事柄を目的や価値観に立脚し判断していくのがこれからの時代の「プロジェクトマネジメント型」の仕事だと、本書の冒頭で山口周氏も述べています。

プロジェクトは始まる前にすべてが決まる

本書の第1章タイトル、これに尽きるというのが私の一番の感想です。
私自身、広告業界やIT業界にいた経験があるのですが、仕事がデキルと思う方は必ず、“勝てるプロジェクトを見極めている”と感じていました。勝てるプロジェクトが誰の目にもわかりやすい形で存在している場合もあるのですが、デキル方は、“一見ハードルが高そうに見えて勝てるプロジェクト”を見極めるのがとても上手いです。

一見ハードルが高そうに見えて勝てるプロジェクトの場合、本書に書かれているような以下の項目を自分に有利に交渉していくことができます。

・人選および人員
・予算
・スケジュール

特に人選は重要で、本書ではそれが
「行き先を決め、そのあとでバスに人を乗せるのではなく、まずバスに優秀な人材を乗せ、とりあえず発車させる」と表現されていました。

まず人選ありき(ファースト・フー)。適材をバスに乗せ、適所に座らせ、不適材をバスから降ろす。そうすればおのずとバスの行き先は決まります。
– ジェームズ・C・コリンズ –

この「バスに乗せる」という表現を現実的に考えると、皆さんはどうイメージされますか?

私は自分の脳内にリストアップしておく、ゆるやかにつながりながら定期的に情報交換をしあうというようなことも含まれるかなと感じています。
その時に大切なのが、「聴く」側としてお付き合いすること。
伝える側ではなく、聴く側としてお付き合いすることで、相手のことやその人の得意不得意、好き嫌いなどをじっくり把握することができますし、何かを一緒に始める際には、「この人には自分の意見を伝えて大丈夫」という安心感を持ってもらえるからです。

お友達付き合いのうちはさほど気にしなくても大丈夫ですが、この人と一緒に何かしたいと思う相手とビジネスを一緒にする際は、言いづらいこと、ネガティブな情報、危機などを躊躇せずに報告し合える関係を築く必要があります。
ただ、日本人はそれがとても苦手。相手を気遣うばかりに報告が遅れてしまったというようなことが命取りになることもあります。関係性が上下であっても、フラットな横の関係であっても、その壁を乗り越えて話ができる環境を築けることはとても大切ですよね。

また、本書には、「場をコントロールする意識」についても触れられていました。

集団が形成されると、誰にそう言われた訳でもないのに自然にリーダー格になっていく人。そのような人にはどんな資質があるのか。

それは、「一番先に話し始めた人」なんだそうです。
知能指数や学歴、ルックス、育ちなど、、まったく関係なく、一番先に話した人のことを周囲の人は、より知的で、エネルギーにあふれ、人格が優れていると判断するのだそうです。

これって、とても大切ですよね。
自分がやりたいことや夢がありながら、それがなかなか進んでいない人は、この勇気が足りないのかもしれません。

「何か意見はありますか?」と聞かれて、最初に発言できるか否か。人が集まり小さなコミュニティが形成された時に、一番に何かを提案できるか否か。その積極性の可否により、自分の周りに人が集まってきてくれるかどうかが決まり、自分がやりたいことや夢への味方や仲間を増やしていけるのではないかと思うからです。

本書は、今回冒頭でもお伝えしたように、「今やりたいことがあって、でも一人で実現するのは難しい」というような方にとっても、どのように仲間を集め、プロジェクト化し、それを進めていくのかということを学べるという点で、とてもおすすめの本です。よろしければ、ご参考くださいね。

リーダーシップは嫌われることと表裏一体

最後に、本書に書かれていた「織学」にも通じる視点をご紹介。
それは「嫌われることを恐れない」です。

山口周氏いわく
「リーダーシップは嫌われることと表裏一体」。

歴史上の変革を主導した志士、つまり最高レベルのリーダーシップを発揮した人物。例えば、キング牧師、マハトマ・ガンジー、坂本龍馬、織田信長など、、全員暗殺もしくは処刑されています。
リーダーシップを発揮し、尊敬や愛着、共感というポジティブな感情を集める人は、必ずそれと同じ大きさで嫌悪や妬みというネガティブな感情を集めるからです。

意味がないもの、価値が無いものに人は抵抗しません。
あなたに無関心ではなく、反論があること、嫌われることは、「賞賛や嫉妬の裏返し」です。

人はどうしても、ポジティブな感情よりもネガティブな感情の方が目につきやすく、そこに心を奪われやすいものです。でも、抵抗や批難が多ければ多いほど、それと対にあなたにポジティブな感情を抱いている人も増えている、リーダーとして成長できている、認められているということなのです。

繰り返しますが、抵抗や非難が多ければ多いほど、それは「痛いところをついている」ということの証左に他ならないのです。抵抗や非難は気にせず、壁を突き抜けてください。

という、著者の言葉に勇気をもらい、共に成長していきましょう。