つながりであふれた世界の中で「生きる」をリ・デザインする

先日、素敵な仲間と読書会を開催しました。
テーマは「世界と日本の教育」についてだったのですが、答えのない意見交換にたくさんの気づきを得ることができ、楽しい時間でした。そして、この時間を通して私は、改めて「多様性」と「多面的」について考えさせられました。

皆さんは、「クリティカル・シンキング」という言葉を知っていますか?
直訳した「批判的思考」、つまり粗探しをするというイメージを持つ方もいますが、そうではなく、「本当にこれが正しいのか」と、前提を疑い、違った視点で物事を見ることです。

私は、企画やマーケティングを生業としているので、このクリティカル・シンキングはとても大切だと思っています。
そもそも、企画やマーケティングは、主観で物事を考えることがあってはならない領域です。常に「客観的な判断」ができるか否か、物事を多面的にさまざまな視点から観察する必要があります。

では、どうしたらその思考が養われるのか?
それは、難しい本を読んで学んだりトレーニングしたり、そういうものではなく、『多様性』と『包摂性』を意識した生き方を身に着けていくことです。
つまり、ダイバーシティーとインクルーシブ。

自分にとっては「これが正しい」と思っていることを、なかなか理解してもらえない、そんな経験がある方も多いと思います。
そんな時は、どうやったら説得できるのか、そればかり考えてしまったりも。

ですが、「正義」の反対は「悪」ではなく、「別の正義」なんですよね。
なかなか理解してくれないその相手にも、自分が抱く正義と同じように、「別の正義」があるのだと思えば、それも仕方ないと諦めることができませんか?

私はそれに気づいてから、いろんな面で「明るい諦め」をできるようになりました。わかり合えない時も、「なるほどね。仕方ないよね」と思えるように。

自分が誰かに理解してもらったり、自分が誰かを理解したり。理解し合うというのはどんなに努力しても、実はそうではなかったという可能性が起こるもの。
だったら、理解し合うことは諦めて、「認め合う」こと、違いを受け入れ、「違いに感謝」するようにしてはどうでしょう?

人は「違い」に直面することで、より自分自身の自己理解を深めることができます。また、新たな視点に気づかされる、物事を多面的に見たり、客観的に見たりできるようになります。

多様な価値観、多様な正義が存在する社会を受け入れ、それらが「公平」に「共存」できる世の中を作っていくこと。

こうした時代が到来したのだと、私は感じるのです。

私たちは自ら選択し、人生をリ・デザインできる

先日、コチラの本を読みました。
この3人が対談!?と、私の胸が躍るコラボ出版に、発売前から予約し、楽しみにしていた本です。

DX進化論 つながりがリブートされた世界の先
尾原 和啓  (著), 宮田 裕章 (著), 山口 周 (著)

コロナ禍も後押しし、昨年から「DX」というキーワードが時代のバスワードのように広がりましたよね。

DXは世界をどう変えたのか?
私たちはネットの中でどうつながっていくのか?
「生きる」はどうリ・デザインされるのか?
世界はどこに向かうのか?
さらに「進化するDX」後の世界とは?

テクノロジーやDXという言葉に、無機質で冷たい印象を持つ人もいるかもしれませんが、SNSが普及し、そこから生まれるつながりは、私たちに人間味のある温かさを生み出してくれた側面もあります。
(もちろん、誹謗中傷やネットによるいじめなど、その反対の側面もあることは否めませんが)

DXというと、デジタル活用という視点で語る人もまだいますが、その本質は「デジタル・トランスフォーメーション」、つまり、デジタルの力による変化・変革です。
DXを、今よりもよりよい世界に変えていくためのものにできるか否か、それは私たちがどう未来をデザインしていくかにかかっています。そのために、今私たちは、改めて「幸せ」や「価値」を問い直す必要がある。

本書は、そうしたことに想いを馳せながら、温かい気持ちになる本です。

私は2000年に社会人になり、転職を経てIT業界に。
社会人3年目の時に、飲み仲間だった友人に「これからはインターネットの時代。しかもモバイルだ。この手のひらに収まる世界に無限の可能性がある」と教えてもらった時の感動を今も忘れられません。

当時はまだ、モノクロ画面のガラケーが主流の時代。
でも、友人の言葉の通り、私はその画面の先に無限の可能性を感じ、その後、IT系ベンチャー企業に転職したのでした。

両親にも、大学時代の友人にも事後報告(笑)。
「そんな会社に転職して大丈夫なの?」「変わってるね」などと言われながらも、私の胸にはワクワクしかありませんでした。

幼少期から大学時代に至るまでの私の人生、「なぜ?」と思うことの連続で、それに対する明確な回答が得られることは少なく、また自分自身もそれをどう調べてどう消化したらよいのかがわからずにいました。

その後、パソコンが一般家庭に普及。でもまだまだ高価な時代が続き、それを手軽に使うことは困難でした。
その後登場したのが、いわゆるガラケーのモバイルでした。

この小さな端末上に情報があふれる時代がやってくる。
それは、“すべての人にチャンスが与えられる時代が来る”ということを、私は直感で感じたのでした。

その後、ありがたいことに、ITベンチャー企業の新規事業で、広告予算が少ない事業者さまがインターネット上で安心してプロモーション活動できるツールをサービス化する新規事業の立ち上げに携わることができました。
“すべての人にチャンスが与えられる時代が来る”という私の直観は間違っていなかったと感じました。

その後、ありがたいことに、大手広告代理店に転職し、モバイルキャリアクライアントを担当。続々と生まれるモバイル端末の新機能をお客さまにわかりやすく伝えるウェブサイトの企画・構築などに携わらせていただきました。
モバイルは、私たちのライフスタイル、生き方を変えていくと、最前線の情報に触れながら感じることができました。

そして今。モバイルは誰もが情報にアクセスできるツールから、つながりを生むツールに進化。
私自身の現在は、テクノロジーをエンドユーザーとして利用しながら、そのメリットを享受している立場ですが、でもその先にある、「幸せ」「価値」「生き方」のデザインを構築したいと、ワーク・ライフデザインの活動をスタートさせました。

本書で述べられているように、これからのデータ社会は、一人ひとりが大切にする「価値」と「生きる」に基づいた多元的な豊かさを実現できる時代だと私も思います。

まさに、「多様性」と「包括性」を実現できる時代。
リアルな世界だけでなく、仮想空間上にも拡がるコミュニティ。

私たちはもう、自分の正義を押し殺して誰かの正義に合わせる必要はないのです。「理解してもらえない」「わかり合えない」のなら、「そっちもいいよね!でも私はこっちを選ぶね!」と別の道を選べばよいし、自らが新しい選択肢=コミュニティを創ることもできるのです。
認め合い、共存できる社会です。

自分たちで世界に手を伸ばしながら、
共につながり方をデザインする未来へ

             (宮田裕章)

宮田先生の言葉、力強さと温かさを感じ、胸に響きますよね。
未来への選択は私たち自身にかかっています。つながりであふれた世界の中で、あなたはあなたの「生きる」を、どうリ・デザインしますか?

抽象度の高い内容で少し難しい面もある本かもしれませんが、ご興味のある方はぜひ手に取って読んでみてくださいね。