
あなたは抽象的な話が好きですか?嫌いですか?
「あの人の話は抽象的でよくわからない」
「抽象的な話ばかりしていないで、具体的な話をしてください」
というように、一般的に、抽象的な話は“わかりにくい”“曖昧”という、否定的な評価を受けることが多いです。一方で、具体的な話は“わかりやすい”と高評価を得られる。
これは正しい評価でしょうか。
抽象的な話をすることがマイナスなのではなく、抽象的な話ばかり(口だけ)で、行動が伴っていないものがマイナスだということ。具体的であったとしても、言われたことをそのままする、一度決めたルールに縛られて変化に対応できないことは逆にマイナスだということ。
そこを理解することで、「抽象」は否定されるものではないということがわかると思います。
抽象化するとはどういうことか

ところで、思考を抽象化するというのはどういうことなのでしょうか。
それは、個別・具体的な事柄を俯瞰してみることで、一般的な概念へと置き換えることです。縦軸・横軸でいうと、縦軸の方に上げるイメージ。
これはよく「視座」ということばでも表現されますが、経営者と従業員では、同じものを見ても見えるものが違うとよく言われますよね。 現場の方は細かい状況がよく見えますが、経営者にはそのものの傾向や流れが見えるなど。 「大枠をつかむ」というようなイメージがわかりやすいかもしれません。
そして、この抽象化できるスキルこそが、“アイデアを生み出す”スキルになるとも言えます。
というのも、イノベーションの理論の第一人者であるヨーゼフ・シュンペーターがイノベーションを「ニューコンビネーション(新結合)」と表現したように、イノベーションと言うのはゼロから新しいものを生み出すだけでなく、既存の「知」×既存の「知」の“新しい組み合せ”がイノベーションの源泉であり、その組み合わせを考えるに際して、物事を抽象化して考えることがとても重要だからです。
A×Bの組み合わせがあるのであれば、A×CやA×Dもアリかもしれない!
そんな思考を働かせることは、Aを抽象化しないと思いつかないのです。
最終的に、Aに何を組み合わせるかに至るかは「センス」になってしまいますが、まずはより多くのパターンに気づくこと、思いつくことが大事です。
この抽象化する思考はどのように養っていけばよいのか。
これはもう、トレーニングしかないかな・・・と私は感じます。
そうは言ってもなかなか難しいとも思うので、以下の本をお勧めします。
「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問
『「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』は、さまざまなパターンをわかりやすい図解で説明してくれているので、思考の流れがイメージしやすいとも思います。
それ以外でも、日頃から、テレビのニュースやネットの記事などを複数集めてみた上で、それを俯瞰してみた「世の中の流れ」のような「傾向」を分析してみたり、同じような商品やサービスの共通点を洗い出してみたり、抽象化してみることを楽しむことができると力も身につくと思います。
私自身はもともと、色々と頭の中で空想するのが好きなので、抽象化が趣味みたいになっています(笑)。そんな風になると楽しいですよ。
具体化するとはどういうことか
さて、アイデアを生み出すには「抽象化」してみることが大事だとお伝えしましたが、それで終わってしまうのでは、ただの空想になってしまいます。
それをアウトプットし、実現化することが「具体化」です。
具体化するためには、「5W3H(What、When、Who、Where、Why、Howto、Howmany、Howmuch)」で考えるとよいともよく言われますが、なかでも、具体化においては「How」というのが一番重要でもあります。それに対し、「Why」というのは抽象化でもあります。
そこで皆さんは気づきませんか?
「Why」は置き換えられないけれど、「How」というのは無数に生み出せるということを。その時の状況や条件で変わってくるのが「How」になるからです。
以前、私のYouTubeで、サイモンシネック氏が提唱した「ゴールデンサイクル」というのをご紹介しました。優れたリーダーは「Why」からはじめるという話です。
女性のビジネスを見ていると、どうしても「具体」から「具体」を生み出しているケースが多い気がします。
「私はこんなことができます!」「この商品はこんな効果があります!」というわかりやすい事例を参考に、同じようにわかりやすいビジネスやサービスを生み出しているものです。
そうしたトレンドを観察しながら、それらを抽象化し、「Why」を定めた上で、具体的な「How」を生み出すことができれば、ブレなくて済むと思います。
「How」で行き詰った時も、「Why」に立ち返ることで、見えてくるものがあるからです。「具体」から「具体」を生み出している場合はその応用が利かず、方向性が定まらないまま流されてしまうことになってしまう可能性も高いです。
抽象的な話=社長のつまらない話(笑)みたいなケースも多く、抽象=おじさんというイメージ、女性には嫌煙されがちな領域ではありますが、だからこそ、抽象化できる思考を持った女性はそれ自体が強みになると思います。
具体的であればあるほど、AIでも処理できてしまう時代。
物事を俯瞰して見る力、視座を高めることで、より高度なビジネススキルを磨くことができます。
A×Bの組み合わせがあるのであれば、A×CやA×Dもアリかもしれない!
そんなアイデアがポンポン♪とあふれ出す女性に。日々のちょっとした思考のトレーニングで、センスある女性を目指していきたいですね。