自分にとっての「最適化」と「幸せ」を考える

ある経営者の方がお勧めされていた最適化社会日本 -幸せの国のつくり方-という本を読みました。

新型コロナウイルスの世界的流行で「リモートワーク」が一気に普及し、「新しい生活様式」というような言葉も生まれ、私たちの働き方やライフスタイルも激変したのは周知のとおり。
一方で、この著者が指摘をするのは本当に重要なコロナ後の変化は、その奥にある「幸せ」や「いきがい」といった私たちの「価値観の変化」だという。経済至上主義な社会から、「こころの豊かさ」や「自然との共生」といった「感性」が大切にされる「最適化社会」へと変わっていかなければならないと著者はいいます。

確かに、コロナ禍を機に私たちは、人間の知識や経験を駆使しても太刀打ちできない自然への恐怖やこれまで「当たり前」だと思っていたことへの疑問を抱くようになりました。VUCA(*)という言葉に代表されるような「予測できない不確実な未来とはこういうことなのか」という、未来への不安も感じる中、その時々で自分が正しいと思うものを信じて、行動するのみ、「自分」という判断軸を意識せざるを得ない時代に突入したようにも感じます。
都会は田舎よりも豊かであるというのは幻想で、密を避けて田舎で生活すること、仕事中心ではなく生活中心の暮らし方こそが贅沢な人生であると気づき、移住や二拠点生活を考え始める人たちも随分増えました。

数年前から時代のキーワードになっていた「イノベーション」やコロナ禍を機にバズワードになったともいわれる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」などは、決して「技術革新」を指すものではなく、私たち人間がより人間らしく生きられること、コロナ禍を機に変わってしまった人々の「価値観」を実現するものとして行われるべきということに、多くの人が気づき始めることになります。

そこで大切になってくるのが「価値創造力(クリエイティブ)」だと本書の著者は繰り返します。

デザインやクリエイティブというのは特別なスキルではない

数年前から「デザイン思考」や「創造(クリエイティブ)力」という言葉を耳にする機会が増えたという方も多いのではないでしょうか。何か特別なスキルや才能がある人が持つチカラで自分には関係ない、そのように感じている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、私はそうではないと感じています。

「デザイン思考」や「創造(クリエイティブ)力」を発揮するにはまず、不必要な情報を取り除くこと、本当に大切な「本質」に気づくこと、見つけることではないかと私は思います。

例えば、“モノを買う”という視点で世の中を見渡せば欲しいものがたくさん出てきますが、“モノを捨てる”という視点で家中を見渡せば不要なもので溢れています。断捨離して不要なものを捨てると、実は新たに欲しいものは何もなかった。あの時の「欲しい」という感情の原因は別のところにあったと気づいたりもします。

より大きく、より多く、より高く、という「成長路線」だけで物事を見るのではなく、「必要か必要でないか」という視点で物事を見ると、自分の人生やビジネスに対する考え方が変わります。
「これならできそう」という“現実”ではなく、「どうしてもやりたい」という“夢や理想”を優先できるようになると思うからです。

「最適化社会日本 -幸せの国のつくり方-」
こちらの本の素晴らしい点は、「日本はダメだ」という論調で終わるのではなく、日本の強みや可能性にも触れられている、未来に希望を持てる点です。

私自身もこのコロナ禍でより一層価値観が変容し、日本の文化、日本の農業などへの関心が高まり、改めて、素晴らしい財産を持っている日本に生まれてよかったと感じています。これらの資産と時代を掛け合わせた新たな価値創造で、私たちはもっともっと豊かな国を作っていけると思います。
その点についても今後、ブログに書かせていただきます。

私たちは今まで以上にもっと、人間らしさ、自分らしさ、そして「本当の幸せ」を追求してよいと思います。時代が後押ししてくれている。必要なのは、不要な「固定観念」を断捨離していくことなのではないでしょうか。

(*)「VUCA(ブーカ)」とは、ビジネス環境や市場、組織、個人などあらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難になっている状況を意味する造語で、「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」という、4つの単語の頭文字をとったもの。